松濤美術館へ
『本歌取り東下り』
杉本博司
【本歌取り(ほんかどり)とは】
和歌の作成方法のひとつ。有名な古歌の一部を取り入れ、その上に新たな時代精神、独自の表現を加え歌を作る方法のこと。
らしいです。
作品は全部撮影可でした!
実物を観てなんぼですから。
時間の間(はざま)
2023年ミクストメディア・時計・厨子・鏡・ガラス
本歌取りだから、本歌が何か分からなくてはならない。けど、説明を読んでもわからないのも・・・。わからないものは、わからないまま観る。それしかできない(~_~;)
富士山図屏風 2023年 ピグメントプリント
杉本博司
1948年2月23日(現在75歳)
写真家・現代美術家・建築家・演出家
執筆、造園、実に多才な顔をもつ。
かつては古美術商もやっていたようで(今もやっているなかな?)古い物や、日本の伝統芸能にも詳しい。私の中では、老賢者のような方☆
「月」2023年 銀塩写真
初めて杉本さんの作品を観たのは、ジオラマシリーズの北極ぐま(1976年)だったような・・・。モノクロの写真で、氷の上にいるシロクマが獲物のアザラシを仕留めた(ようにみえた)写真。
ぱっと観たときは、ただのネイチャー写真のようで、なんでこれがアートなの?と思ったのだけど、写真に写っているのは、実はアメリカ自然史博物館の剥製(゚д゚)!
それが分かった時、衝撃と同時に何とも言えない不思議な感じがした。写真の中に写った生死、実は両方ともすでに死んでいて(剥製)アザラシは写真で2度死んでいる。
生と死の境界線が曖昧になる、不思議な感覚と衝撃だったのを覚えている。
カリフォルニア・コンドル 1994年ピグメントプリント
たとえ意味が分からなかったとしても、心惹かれる物には、必ず自分と共鳴する何かがあるんだと思っている。
展示にあった杉本さんの言葉。
人類の意識の起源を探ること
古代の人々の記憶をたどり
現代に生きる人々に提示すること
時代の経過・環境
絶えず変化する
抗わずその過程を楽しむ
劣化・ダメージにも美を見い出す
あー、自分の劣化の中にも美を見い出だしたい!なんてね(笑)
叫ぶ女 縄文時代中期土器 小田原文化財団蔵
グループ展で作品を観る機会はあったけど、個展は今回が初めて。それが行ってみたかった松濤美術館で開催ということで♪♪♪
観ている方たちも、私同様1人の方ばかり。
大きな声で鑑賞を邪魔する人もいなくて、とってもよかった。
展示は前期と後期があるようで、
10月17日(昨日から後期)~11月12日(日)まで開催中。
小田原にある杉本さんが手がけた
『江之浦測候所』
ここも行きたいリストに入っているけど、まだ行けてない。
杉本さんが全国から集めてきた石もたくさんあって、以前テレビの番組で運命的な出会いの石について
「石がここに行きたいって言う。」
それを聞いていた夫が
「石がそんなこと言う訳ないじゃん!」
確かにね、石がしゃべるわけない。
でも、私は杉本さんが冗談で言ったようには思えず、本当にそんなことがあるんだなって、わりとすんなり受け入れられるんだよね(笑)
きっと、聞こえる人には聞こえるんだよ。
相模湾 江之浦 2021年1月1日 ピグメントプリント
静謐な世界から、また暑い現実の世界へ・・・。
松濤美術館、また来たい。
さて、次は・・・。
つづく。
なかなか終わらない(汗)
東京ずらし旅