ロリスのたまご

50代からの人生リスタートブログ

読書日記・ヘッセの小説『デミアン』神アプラクサスとは何か?

こんにちは、ロリスです。

2020年の4月、長年勤めていたパートの仕事がなくなった。コロナの影響でパート社員はみんな解雇。あっけない幕切れだった。
その後、別のお店から声がかかって今はそちらにお世話になっている。

急に時間ができて、コロナで外出も(あの頃は実態もわからなかったので)しないで家にいたので、これは読書しよう!と思い、年間100冊をめざしたけど結局61冊で終わった。それでも今まで月2冊ぐらいだったのが5冊になったのは、私としては快挙かな。

その時に、ヘルマン・ヘッセデミアンを読んですごくはまりまして、翻訳者の違うデミアンを3冊読んだ。日本語の訳し方で印象って変わるね!ヘッセはドイツの文学者で、なんでヘッセを読もうと思ったかというと、忌野清志郎がヘッセが好きだって言ってたので(ファンなんで)いつか読んでみたいと思っていて、それがこのタイミングだったというわけ。たまたま本屋で目についたのがデミアンだった。

デミアンは、1919年ヘッセが偽名を使って出した小説(その後ばれるんだけど)主人公の少年は、ちょっとした嘘がきっかけで不良のカモにされる。そんな中、転校してきた謎の年上の少年デミアンと仲良くなったことで、彼の運命は大きく変化してく。少年から青年までの、主人公の心の葛藤と成長していく過程。そして意外な結末。きっと主人公はヘッセ本人なんだろうな。内省力が半端ない!かなり重たいお話ではある。

その中ですごく好きな場面がある。主人公が自分のみた夢を絵にかいてデミアンに送る。それは大きなハイタカ(鳥)が黒い地球に半身を入れて、そこから抜け出ようとしているような絵だった。返事は意外なかたちでくる。

『鳥は卵から出ようともがく。卵すなわち世界なり。生まれんと欲するも者は世界を破壊するほかなし。鳥は神をめざして飛ぶ。神の名はアプラクサス』

ここは酒寄進一さんの訳が好きなので、そちらをのせます。

このアプラクサスって神はなんだろう?と思ってたんだけど、見つけられないでいた。そしたら、先日借りてきた河合隼雄さんの『影の現象学という本の中に、なんと!ヘッセのデミアンの事が書かれていた。

アプラクサスというのは『死者への7つの語らい』という話の中に出てくるようで、これはスイスの心理学者ユングが、自分の内的体験を書いた物語で、個人出版して身近な人のみが読めたよう。それが死後、ユングの自伝の付録として読めるようになったみたい。この話の全容はわからないけど、アプラクサスとうのは、生と死、善と悪、光と闇。2面的なものを1つに持つ神のように思う。

2つの対極を融合させる。ああこれ、自分のこれからの人生のテーマだわ。

思いがけないところで、アプラクサスのことがちょっとわかってよかった。
この本の中には、これまた戦場のメリークリスマスの原作『影の獄にて』の1部解説も河合さんがされていて、そちらもおもしろかった!心理学者として豊富な知識がある方の読み解き方すごいな。

昨年、思いがけない理由で読書する機会が増えて、私の読書筋もちょっと鍛えられたかな。読書で楽しみの幅が広がっていくように感じる♪これはコロナの恩恵?いいように解釈しておこう(*^^*)

読書は楽しい。

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ではまた('ω')ノ

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